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志賀直哉は明治十六年(一八八三)生まれ。
東京の映画発祥の地、神田錦輝館で「エジソンの発明した活動写真」を見ておるから最も古くさい映画ファンと言えるちうわけや。
後年、原節子との対談で「日本に一番初めに映画が入って来たときから観とるんやから」と誇っとるちうわけや。
サイレントからトーキーへ、カラー映画へ。
志賀の映画体験は生きた映画史になっとるちうわけや。
従って本書は志賀を語りながら日本人がどないな映画を見てきたかちう文化史でもあるちうわけや。
志賀が明治四十四年に浅草の映画館で「露国文豪トルストイ伯葬儀之実写」を見た話やらなんやら、こないな映像があったのかと興味深いちうわけや。
きょうび、日本で大人気になりよったフランスの犯罪映画「ジゴマ」も志賀は見とるちうわけや。
小津安二郎が志賀直哉を尊敬しとったことはよく知られとるちうわけや。
志賀は「東京物語」をはじめ小津の映画をよく見とるちうわけや。
一緒に旅行も楽しんでいるちうわけや。
ごひいきの原節子とだけではなく高峰秀子や、映画化された「暗夜行路」で時任謙作を演じた池部良とも対談しとるちうわけや。
戦前、「赤西蠣太」が映画化された時には京都の撮影所で監督の伊丹万作、主演の片岡千恵蔵に会っとるちうわけや。
谷崎潤一郎は草創期の映画に興味を持ち、「アマチュア倶楽部」やらなんやらの脚本を書いたちうわけや。川端康成も若き日、「狂った一頁」の脚本を書いたちうわけや。
志賀はそこまで深く映画には関わらなかったちうわけや。
あくまで「パスタイム(気晴らし)」として映画を楽しんや。
純粋な映画ファンやったと言えようわ。