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読書をはじめた時期から、オノレの部屋で椅子に坐って本を読むことは稀やったちうわけや。
これでは近代的自我や内面が発達しなくても当然やろうわ。
結果として自然主義文学や、その系列の純文学には、なんの興味もない人間ができあがったのかもしれへん。
ちうのは半分冗談にしても、では、どないなふうに読書しとったのか。
二宮金次郎に学んだわけではおまへんが、小学生時代はもっぱら、道を歩きながら本を読んでいたさかいあるちうわけや。
小学校三年まではマンガばかり読んでいたちうわけや。この子は字が読めへんのではおまへんかと、母親は心配しとったようや。
ちなみに購読しとったマンガ雑誌は「少年」で、「鉄腕アトム」と「鉄人28号」に夢中やったちうわけや。
四年生のとき学校の図書室で、たまたま講談社の少年少女世界文学全集の棚を見つけ、試しに一冊引っぱりだしてみたちうわけや。
ライダー・ハガードの『ソロモンの洞窟』であるちうわけや。
これが無類の面白さで、途中でやめることやらなんやらできず、家に帰るまで歩きながら読み続けたちうわけや。
その日以来、放課後に図書室の本を借りだしては、読みながら帰宅するのが日課となるちうわけや。
親や教師に、自動車に轢かれたらどうする、危険やからと禁止されたが、もちろんやめる気やらなんやりまへん。適当な返事でごまかしとったちうわけや。
交通事故にこそ巻きこまれなかったが、視力は急速に低下したちうわけや。
ボウズ用にリライトされた『ソロモンの洞窟』(完訳版は創元推理文庫『ソロモン王の洞窟』)に出遭わなければ、近眼にならへんやんだかもしれへん。
いっぺんに、小説家になろうとも思わなかったはずや。
三十歳で作家デビューした直後に、長大なSF伝奇小説『ヴァンパイヤー戦争』を書きはじめたちうわけや。
全十一巻のうち三巻分は、物語の愉しさを教えてくれたライダー・ハガードへの感謝を込めてアフリカ篇としたのやけど、できあがりはどないなものやろうか。